HR社労士事務所ブログ

労働・社会保険に関する最新ニュースや社労士試験のポイントについて発信するブログです。

社労士試験ポイント解説 労務管理一般常識

最低賃金法について


本日は最低賃金法について解説します。


(1)最低賃金とは
最低賃金とは、最低賃金法により国が定める賃金の最低額をいいます。具体的には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。
①地域別最低賃金
地域別最低賃金は、都道府県ごとに設定される最低賃金です。厚生労働大臣(又は都道府県労働局長)が「最低賃金審議会」の調査審議をもとに決定します。
②特定最低賃金
特定最低賃金は、特定の産業について設定されている最低賃金です。厚生労働大臣(又は都道府県労働局長)が関係労使の申出により「最低賃金審議会」の調査審議をもとに、地域別最低賃金よりも高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定します。


(2)最低賃金の効力とは
使用者は、最低賃金が適用される労働者に対し最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。労使間で最低賃金を下回る賃金額を定めた場合、その部分については無効となり、最低賃金額と同額の定めがあったものとみなされます。


(3)最低賃金法に違反した場合の罰則
地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者は、50万円以下の罰金に処せられることがあります(最低賃金法第40条)。また、産業別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合は、最低賃金法の罰則は適用されず、労働基準法の賃金の全額払違反の罰則(罰金の上限額30万円)が適用されます(労働基準法第120条)。


(4)最低賃金から除外される賃金とは
以下の賃金は最低賃金法の賃金から除外されます。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
②1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金
④精皆勤手当、通勤手当及び家族手当


(4)最低賃金の減額の特例
一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、以下の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
①精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
②試の使用期間中の者
③職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける者のうち一定のもの
④軽易な業務に従事する者
⑤断続的労働に従事する者


(本日のポイントまとめ)
・最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」があり「最低賃金審議会」の調査審議をもとに設定
・最低賃金を下回る賃金を定めた場合は無効となり最低賃金が適用
・地域別最低賃金以上の賃金を支払わなかった場合は50万円以下の罰金
・臨時給与、ボーナス、時間外手当等に対しては最低賃金法は適用されない
・特定の労働者に対しては最低賃金の減額の特例がある(都道府県労働局長の許可が必要)
………………………………………………………………………………………
HR社労士事務所は人材紹介から社員教育のための各種講座・セミナー、社員の労務管理まで人事労務に関するお悩みをトータルでサポートする社会保険労務士事務所です。弊所をご利用の際はホームページよりお問い合わせください。